今日という日に

2020年12月6日
10日後、16日に250回目の生誕記念日を迎えるベートーヴェンさんに、お祝いの気持ちもこめて「第九」をみんなで演奏するはずの日です。

何となく、予定を入れられなかった日。
モモコは1人、心の中でメロディをなぞっていました。
いつしかそれは、これまでの演奏会への追憶に変わっていきました。

緊張感漂う中からかすかに聴こえてくる「音」
船橋先生のタクトにステージ上の全員が心をあわせて、音楽の世界を紡ぎだしていきます。
少しずつたかまり、やがて大音響となる頃には、すっかり音楽の世界に入っていってしまう。それが常でした。

1楽章、2楽章、3楽章。
合唱団の私達は、「音」を出すことはないけれど、そのぶん「音」、そして目の前の船橋先生やオーケストラの皆さんの動きや息づかいに気持ちを委ねている時間。

そして第4楽章
冒頭のファンファーレ。
緊張感がよみがえります。
2回目のファンファーレ。
菅野先生のソロを心の中で共に歌っています。
そして「合唱団」も演奏に加わって········。

歌っている時は、なんでだろう。わりと冷静な気がします。
っていうか「今」だから言えることだけれども、もう1人の自分が、暴走しないように自分をコントロールしている感じ。
本番でしか感じることがない感覚です。
そんな感覚を、自覚するでもなく懸命に歌い続けて、最後の一音を歌いきりオーケストラに気持ちを繋げて····。
船橋先生のタクトのもと、一糸乱れず高みを目指す「音楽」を見(聴き?)守り······。

拍手。

高揚感。充実感。
そして「終わっちゃった」っていう寂しさ。
ないまぜになった気持ちで舞台を降りたら、あとは「現実」です。

追憶は終わり。

これはこれで、幸せな時間だったかな?

現実に戻ります。

合唱団は3月の発表会という目標を設定し、頑張っています。
「アルカディア音楽祭」も実行委員会が次回に向けて少しずつ動き出しています。勿論「世の中の現実」を見ながらです。

「第28回音楽祭」への想いはこれで一区切りにし、合唱団員として、そしてモモコとして現実を生きていこう。
そんな風に締めくくった2020年12月6日でした。

〈モモコ〉